西本幸雄と野村克也、監督像についての話

引用元: 2ch.net
<84年10月19日の対談内容>
西本:西武というチームはベテランを頼らなければ、力を出せないんだね
でも広岡の頭の中には新旧勢力を切り替えてやろうという意識が早くからあった
その辺をベテラン勢は敏感に感じたと思う
ノム:不振の原因は、監督と主力の相互信頼に亀裂が入ったということですか
西本:年とってきたら、選手は自分に鞭打たないと力を維持していくのが難しい
ノム:休みだすと早いんですよね
西本:だから疲れが出てきた時、休ませるのはいいけど、かなり因果を含めて
次お前らにまた鞭打つぞ、休んだ後頼むでと言っておかなければならない。
何も言わないで休ませたらもう駄目になる
ノム:広岡さんの実力優先主義というのはいいと思うんですが、人間がやっているんだという意識に乏しい
ベテランには自分がやって来たという自負がある。それを理化してあげないと・・・
西本:今まで美味くきたから、自分の道をいっておけば間違いないという絶対的な信念が非常に強い
それはそれで勝負していく人間だから構わない。ただ、監督と肩を並べるほどの力がある人達には時にはおだてたりくすぐったりしないとね。
広岡は多分そういうことほとんどないんじゃないか。田淵なんかまだまだやれる、使おうと思えば使えたはず
チームというのは、窓際族が2、3人いたらもう駄目になる
ノム:ヤクルトでの失敗も同じことをやったでしょう。一応、結果的には3位だったけど、本当の3位じゃなかった・・・
西本:人間の弱みというか、今度のことが良い経験になるんじゃないか
ノム:巨人の王監督はどうですか
西本:川上野球というものが巨人には残ってるし、セリーグ全般にも影響していると思う。
だから先制して、リードしている時は非常に強引にくる。反面、先制するまで非常に堅い野球をする
巨人は自分たちの力を信じながらも、公式戦ではバントを繰り返す。それが選手に1点とらなあかんという硬さを生んだ。相手にリードされているとますますそう言う形になる
それと今年の巨人は生誕50周年でしょう。どうしても今年という意識が更に硬くしてしまった。
広島と中日に離されて諦めてから、チームの実力が出た
ノム:後半の巨人が本当の力ですか
西本:僕はそう思う
ノム:そういえばオールスター後、勝率は巨人が1位なんです。王を1年で評価するのは酷ですけど、まだ将来があるということでしょうね
西本:就任時に威勢の良いこと言ったけど、川上戦法が頭から離れてなかったと思う
ワンちゃんだからほとんどの人が批評ということをしないけど、自分とチームの力を発揮させるにはどうしたらいいかという方法を誤ったのではないか
敬語のノムに違和感wwwwwwww
ノム:後半はあまり動かなかったけど、前半はものすごく動いたでしょう。エンドランと決めたら、カウント、打者、状況を見たりしない、とにかくエンドランを決めようとする
西本:ゲッツーが怖いんだね
ノム:そうですね、1、3塁で二盗とか多かった
西本:とにかく手堅かった、セカンドに送っておかなきゃという意識が強すぎた
ノム:4番に据わっていた原や中畑にもバントさせていたのはどう解釈されますか
西本:どう叩かれようが、打てるやつには打たせんとね
ノム:でもネット裏の人達は褒めるでしょう。王だからできた、あれが厳しさだと
西本:長嶋の場合はしまいになってから批評が出ていたけど、長嶋にとって参考になるような意見はなかったんじゃないか
王については僕も言ったけど、この人はアンタッチャブルやからな
ノム:僕に経験があるんですが、やっぱりサイン出して何か動いてないと監督業をやってないと思ってしまうようなことなかったですか
西本:それはあったよ
ノム:じっとしてるのも作戦だということは、最初分からないでしょう。走れるやつが出れば走るのを待つ
打てる奴が出れば打てるのを待つ。それがなかなかできない。その意味では王は前半参加しすぎた
さすがのノムも西本にはガチガチなんやな
西本:王は今年良い勉強をした。来年、後半のようにどっしり構えられるか・・・
ノム:開幕戦、どういう野球をしますかね
西本:開幕から一ヵ月、非常に面白いと思う
ところで、古葉はだんだんずる賢くなってきたなw 人が悪くなってきたという感じがするよw
ノム:余裕か、性格か。それとも監督観が変わったんでしょうか
西本:チーム全体を掌握したという自信の表れじゃないか。山本浩二を休ませた時も、その後使う時6番において、若い奴を3番に置いたりする。こういうことがやれるのは、浩二の心を握ってるだけじゃできん
ノム:古葉は今年10年目ですか。長期政権少なくなりましたね。展望を示さずその場しのぎの対策する球団ばかりです
西本:チームを任せる時、初めから大丈夫と思って送れる人は誰もいない。
だけど決めたら、育てにかかると言う気持ちを球団にも持ってほしいね
ノム:雇う方も指導者としての素質は見れるでしょう。才能はともかく
西本:その通り。でも、ちょっと踏み外したら周りがやいやい言いたてる。するとその人を監督にした人もぐらついてしまう
そこらへんに育たん元があるのかも。人がいないんじゃなくて、育ててないんじゃないかと思うんです
ノム:育成、特にリーダーは時間がかかりますからね。ところで、古葉監督を名将と思われますか
>>435
これは現在の方がその傾向が強いよな
長期政権なんてちょっと前の東尾・王くらいじゃね
>>447
落合は一応8年くらいやったけど10年以上は最近では王くらいやな
にしもっさんの分析凄いな
西本:僕は認めてるよ。変哲のない、大監督らしくないと言う人もいるけど、ありきたりな大監督がいてもいいじゃないか
ノム:西本さんの弟子の上田監督に似てませんか?
西本:野球が好きで熱のあるところは、上田は天下一品だ
ノム:西本さんと同系統じゃないですか
西本:人間がみこしを持ち上げる力は決まってる。そしてみこしの重さが持ち上げる力の和よりも大きかったら持ち上がらないかといったら、そうではない。気持ちが一つになればあがるんだ
ノム:一瞬で、でしょうか?
西本:持ち上がる。それが気勢というもんだ
ノム:上田は、持ち上がらないみこしを持ち上げられる何かを持っているということですか
西本:・・・・・・・・・
ノム:どうしたんですか黙り込んで。上田の話題は喋り辛そうですねw
西本:ちょっとヒステリーみたいな恰好になりよるからな
ノム:相手にしたら嫌ですよ。あのヒステリーは。ゲーム中抗議に出てくると顔つきも凄い
西本:あいつは将たる器。でも、もう一つ大きくなって欲しい
ノム:器が大きくなると言うのはどういうことでしょうか。僕は誰よりも小さいから分かんない
でーんと構えてるのが大きいのか、細かいことにこだわらないのが大きいのか
西本:あんまりでーんとしたら監督は駄目よ。むしろびくびくして貧乏ゆすりしてるほうが結果は良くなる
味方の中の敵を飲みこむくらいの度量を持ってほしいね
ノム:なるほど
西本:一緒にやった仲だから、あんま喋りたくないんだw
ノム:上田も古葉もまだ若い。好敵手になtって、やめてもらいたくないですね
稲尾はどう見ますか。みんなは5位6位に予想しましたけど、あそこまでもっていきました
西本:買えるね
ノム:何が変わったんでしょうか。山本のような、単純な監督の後は確かにやりやすい
選手は新監督と前監督を比較しますから。僕も非常にやりやすかった
やること全てが凄いとなって、洗脳というか、気分を一新して監督の特色を発揮しやすい状況ではあった
西本:具体的にいえば、あそこの全く頼りない投手が、恰好ができてきたということかな
84年てことはノム燕時代前の解説者の時か?
南海で5?6年プレイングマネージャーだっけ?
>>450
せや解説者の時やで
ちなプレーイングマネやめた(クビになった)後も、一選手として現役三年続けたで(ロッテ一年、西武二年)
そのあと引退して解説者やってたんや
ノム:広岡さんとは正反対ですからね。酒は飲め飲めですから
捕手のところへ酒箱か何か置いといて、あの中通したらビール一杯というユニークな練習をやらせる
ちょっと遊びすぎでしたけどね
西本:性格的には中日の山内に似ている
ノム:共に小さなことにこだわらないし、気分転換も上手い
ところで西本さんの時代に、金で選手を釣るということはしたことありますか
西本:好きじゃないし、額は非常に少ないけどね。出したことはある
ノム:僕もです。出さない時は選手がやらんような気がしてw
選手は関係なくやっていても、そういう風に映ったりするでしょう
西本:額が多い、少ないということで選手にクレーム付けられたことあるよ
ノム:灰色の時代ですか。山内さんも監督賞出してますね。ああいうのはどうなんでしょうか
西本:チームの風習なのかな
ノム:中日はランナーが出ても細かいことができない。でも、何もしない時が強い
山内さんが動くとマイナスの面が出ますねw あのチームの監督は難しい
西本:難しい、難しい。稲尾がロッテに行って水を得たという人いるけど、山内も水を得たと思う
そして終盤、巨人で冷や飯食ったもんだから細かいことをやろうとした
ノム:チームに合ってないことをやろうとして、追いこめなかった
せっかく西本さんがいるので、阪神のことを聞かなければ・・・
西本:関西であれだけ人気があるというのは、チーム作りは非常にやりにくいと思う
試合もかなりの試合にしなきゃならんし、手を抜けない。しかも、それを同時にやらなきゃならない
シーズン中、阪神は練習量がかなり減ってるんじゃないか。コンディション優先で
これを続けると、若手が練習せんようになる。ワシはファンのままでいたいよw
>>457
西本って阪神ファンなんか
>>457
阪神の若手の評は今に通じるものがあるな
ノム:安藤監督の評価はいかがですか?
西本:采配は下手じゃない
ノム:あの戦力では可哀想、ということですか
西本:それもある。それも監督も常にいい試合という感じじゃなしに、開き直っても良い
お客さんを気にして、なかなか危ない橋を渡らなかったように思う
ノム:日ハムの植村監督は気の毒でしたね
西本:代わって出てきたのが大沢君じゃね。あの代わり方では、せっかくやらしてやったけど
お前じゃあかんからやっぱり俺が、という感じに映ってしまう
ノム:自信が無いので辞任しますときて、それじゃしょうがない、間に合わせるために俺がやる、というのが普通ですよね
前任者がおろしにいったわけじゃないでしょう
西本:しかし、コツコツ作り上げたものが壊れるのは早いな。三年前は優勝しとるのに
ノム:南海の穴吹監督はどうですか。12球団で、1つ勝っては万歳するのはこの人だけでしょう
西本:そういう監督がおってもええやないかw
ノム:僕は、監督が万歳するのは優勝した時だけだと思うんです。広岡監督は、あれに腹立ててるみたいですよ
一つの手ですかね。相手がカッカするならやるべきなのかな
西本:ヤクルトの土橋は目立たんけどまあまあだった。あいつの性格は選手に分かりやすい
ノム:喜怒哀楽はっきり出しますからね
西本:ここが勝負どころやとなったら、監督の態度や顔色で、選手もぴりっとするところはあると思う
プロなら選手もそういうのは分かってなきゃいかんけど
ノム:特にヤクルトは、若松を筆頭にみんな大人しいですからね。そういう意味では、土橋さんはあってるかも
近鉄の岡本監督はどうですか
西本:時間かけてあげなあかん思うね。育てるのにはね
ノム:近鉄の4位はよくないでしょう。今年の西武なら、上いかなあかんでしょう
西本:今年の西武ならね
ノム:今年、監督が変わるのは日ハムと大洋ですか。関根さんもおっとりした方ですからね
あの大人しい大洋で、チームの体質と、関根さんのタイプはあまりにも似すぎてるんじゃないですか
西本:成績は成績で仕方ない。それよりもどういう力がついてきたかという、明確な何かが残せないと
ノム:結論的に、良い監督というのはチームを去る時に何かを残したのが良い監督ということですかね
西本:球団がコツコツ、コツコツ続いた努力をしていかないと明確なものは残ってこない
やっぱり経営する会社の心意気が、下にまで通じてなきゃいかん。その中で、中間管理職が若い人たちに、
どうやってそれを伝えるか、それが勝負の分かれ目になる気がするんだな
ノム:私の常々思っていたことを、今日は西本さんに言っていただきました。ありがとうございます (終)
終わりやで
ちなみにこの本のノム、びっくりするくらい広岡リスペクトに満ち溢れとるわ
>>476
ノムさんは広岡とか川上リスペクトしとるよなぁ
自分のやりたい野球やってる人達やし当然か
>>476
ただし広岡とノムは犬猿の仲の模様
>>506
ノムがヤクルトで優勝してから疎遠になった
それまでの広岡の「ヤクルトを優勝させたのは自分だけ」という自負を奪った上に
ノムは黄金時代築いたからな
>>521
西武では森が黄金時代を築き
ヤクルトではノムが黄金時代を築き
名将なんだろうがちょっと可哀そうな人やね
>>476
サンキュー
ちなみになんて本?
乙
敬語なノムは新鮮だったw
監督は人心掌握と組織論が大切ってことやな
ちなみに西本監督も最終試合で近鉄と阪急の選手両方から胴上げされたんだよな
「監督は動かないと仕事してないように思っちゃう」って話は以前オッチと対談した時にも言うてたな
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